関東では桜の季節も終わり、いよいよバラの季節がやってきました。バラが健やかに育つために、そばに植えると病害虫の防除効果があったり、生育がよくなるコンパニオンプランツのことをご存知でしょうか。今回は、バラを育てている人におすすめの、一石二鳥の栽培アイデアを神奈川県在住「日本ローズライフコーディネーター協会」の代表を務める元木はるみさんに教えていただきます。

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バラのコンパニオンプランツとは?

みなさんは「コンパニオンプランツ」という言葉をご存じでしょうか?

「コンパニオンプランツ」とは、近くに植えることで、植物の生育がよくなったり、病害虫の被害が少なくなったり、野菜や果物の栽培では味や風味が増すなどの、よい影響をもたらしてくれるプランツ(植物)のことを言い、「共栄作物」や「共存作物」とも言われています。

今回は、元肥や追肥など、施肥を行いながら育てるバラの鉢植えを近くに置くことによって、鉢底から流れ出る栄養分を周囲の植物が吸収し、生育がよくなった事例をご紹介しながら、まるで、鉢植えのバラがコンパニオンプランツのような役目も果たしていることもご紹介します。ガーデンやテラス、ベランダなどでバラを鉢植えで育てている方に役立つ方法ですので、ぜひお試しください。

庭でのコンパニオンプランツ的事例<桜>

枝垂れ桜

3年前に、以前の庭から現在の庭に移植した枝垂れ桜が、今年はたくさん花を咲かせました。

桜

左の写真は、移植した当時の桜の様子です。根をたくさん切ったため、枝も1/3ほど詰めて移植しました。

その結果、枝振りも悪くなり、樹形も無惨な姿に。

移植後2年目は、花は数える程度でしたが、3年経った今年は(上写真右)、見違えるほどに花がたくさん咲きました!

移植で弱っていた桜の株元にバラの鉢植えを置く

桜とバラの鉢植え
左/桜の株元にバラのオベリスクを置いた4月上旬。右/同じ場所の4月下旬の様子。バラが植わる鉢の周囲にある植物も枝垂れ桜と同様に、すくすく大株に育っています。

この急激な生育回復の理由を考えてみると、経年による生育にプラスして、枝垂れ桜の株元近くに、オベリスク仕立てにしたバラの鉢植えを置いたことが理由かと思われます。

昨年の3月から、この場所に置いたバラの大きな鉢。この鉢の中にはバラの用土として、たっぷりの元肥がまず入っています。そして、3月の芽出し肥、花後のお礼肥、夏の元肥と、追肥を与え続けてバラを管理してきました。このバラに与えた肥料の栄養分が水やりや雨水などによって鉢底の穴から流れ出て地中に染み込み、枝垂れ桜の生育をよりよくしたのではないかと考えられます。

庭でのコンパニオンプランツ的事例<夏ミカン>

夏ミカンとバラ

こちらは、夏ミカンの木の株元に置いたバラのオベリスク仕立ての鉢植えです。

夏ミカンの木も枝垂れ桜と同様に3年前に移植しました。昨年は、ほとんど実らなかったのですが、今年は上写真の通りだいぶ実の数が増えました。

夏ミカンの木の株元に、昨年の3月からバラの鉢を置き、同様に元肥や追肥をしっかり与え管理してきました。そして5月には、夏ミカンの花も以前よりだいぶ多く咲くようになり、その結果、実の数も多くなりました。

もちろん、バラ自身も元気に育っています(上写真右)。

バラ栽培でよくある質問

「地植えしているバラの近くに他の植物を植えるのではだめでしょうか?」という質問を受けることがあります。

その際、私がお答えしているのは、「栄養分たっぷりの用土で育てるバラを地植えにして、その近くに他の植物を植栽すると、他の植物の根がバラの用土の中に入り込んで、栄養を取られてしまうため、大体のバラは他の植物に負けてしまいます」ということ。ですので、近くに植える際はバラを鉢植えにするか、他の植物を鉢植えにするか、また両方を鉢植えにするなど、鉢を利用することをおすすめしています。

バラのオベリスク

バラを他の植物の株元に鉢植えにして置く場合、他の植物の茂りすぎた葉が日陰を作り、バラに日光が当たらなくなってしまうのを防ぐ意味でも、他の植物の枝葉を整理してバラに日光が当たるようにしましょう。

テラスやベランダでのコンパニオンプランツ的事例

鉢植えのバラ

鉢植えにしたバラと、その下に置く鉢を用意し、下にする鉢には用土を半量ほど入れておきます。

鉢植えのバラの活用法

そして、下の鉢の用土の上にバラが植わる鉢を乗せて2段重ねにします。

ペチュニアとサントリーナ

下の段の鉢のすき間に植物を植栽します。今回は、ペチュニアとハーブのサントリーナを植栽しました。サントリーナには、防虫効果があるとされています。

バラの寄せ植え

栽培を続けていると上段のバラに施した肥料が下段の植物たちにも効いてきて、2段の鉢植えがともに元気に育ちます。

バラとハーブ

こちらの鉢植えの下段には、殺菌効果があると言われるハーブのオレガノ・バリエガータと、バラの花色に合わせて、ピンクのネメシアを植栽しました。

バラとアロマティカス

上段の鉢にはバラの新苗、下段には虫除け効果や抗菌作用があると言われるアロマティカスを植えました。

上段のバラの鉢植えの鉢底から流れる栄養分で元気に育つ下段の植物。また、上段のバラがより元気に育ってくれることを願って、下段にハーブを植えた2段仕立ての鉢植えの成功例です。

これから新しいバラの苗をお迎えした際にはぜひ、お試しください。

Credit


写真&文/元木はるみ
神奈川の庭でバラを育てながら、バラ文化と育成方法の研究を続ける。「日本ローズライフコーディネーター協会」代表。近著に『アフターガーデニングを楽しむバラ庭づくり』(家の光協会刊)、『ときめく薔薇図鑑』(山と渓谷社)著、『バラの物語 いにしえから続く花の女王の運命』、『ちいさな手のひら事典 バラ』(グラフィック社)監修など。TBSテレビ「マツコの知らない世界」で「美しく優雅~バラの世界」を紹介。
元木はるみの「バラとハーブのある暮らしSalon de Roses
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